Haco “Stereo Bugscope 00”

omay_yad2005-09-19

■ハコは80年代から実験的な音楽を構築してきた。昨日復刻されたアフターディナーのCDは未だに新鮮な発見に富む音楽だ。彼女は常に果敢で詩的な挑戦を続けている。このCDは電磁ピックアップを使用しパソコンなどのデジタル機器から発する電磁波を演奏したものである。このような電磁波、低い周波帯の電波を私たちは聞くことはできないが、このようなものが日常空間には飛び回っている。デジタル機器の関してだけでなく商用電源や照明など、およそすべての電気器具からそれは発生している。この見えない環境に注目することで、別の世界が垣間見れるのである。このCDの素晴らしさは一聴して理解される。1曲目のエレガントな音の変化は筆舌に尽くしがたい。ここでは2つの電磁波ピックアップに注目したい。2つ、つまりタイトルにあるように、STEREOという概念は両耳の聴覚との類似性から発展したものだ。立体的に音が聞こえることで私たちは音の世界に空間を認識できる。2つのピックアップを移動させることによって、その位相的変化の領域が興味深い変化を見せる。つまり見えない電磁波の世界に空間的広がりを見ようとしているのだ。電磁波の世界に平衡感覚を持ち込むこと。そこで散歩をすること。これがこの作品をより深く楽しむポイントとなるはずだ。
(p)Improvised music from Japan IMJ-523 (c) Haco/JASRAC 2004■