Jliat ”Still Life 1”

■Jliatはイギリスのドローン音楽家である。フリッパートロニクスのようなループ方式で音を重ねて熟成した豊穣なドローンを作る作家だ。しかしこの50枚限定プレスのLPはいつもと様子が違う。配送用の厚手封筒にPCプリントのラベルが貼られた装丁。ペット材のような透明ディスクにダイレクト・カッティングされている。制作メモが同封されている。肝心の音はノイズ・ギターから低音を間引いたような擦れた音。両面ともほとんど変化しないが中心に向かうにつれて微妙に高音が減っていく。この変化は、針を飛ばして分かる程度のものである。ほぼ両面共同じ音だが微妙にテイクが違うようだ。 いつものシステムで多重になっているようで複雑な音の形跡はあるのだが、物体のようなこの音楽は、こちらの感覚世界を一向に開いてはくれない。当人は東洋思想に興味があり、ジャケ裏には何かの聖典から抜粋したと思しき仏陀の話が書いてある。曲名は「Abhuta-parikalpita」。
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