Michael Graeves ”Simple Method”

omay_yad2005-09-15

■マイケル・グリーヴスはメルボルン在住の画家であり音響作家である。ずっと絵画の実践を行ってきたが、数年前メルボルン美術大学でPhilip Samartzisに師事している。この自主制作されたCDEPのジャケットで見られるように、ミニマルでカラフルな油絵を描いている。使用される色彩は、アトリエの窓の外の景色や室内の何か物体から選んで決めるそうだ。つまり絵画作品に彼の環境が取り込まれている。展示の際、絵画作品と一緒に、古い家庭用レコードプレイヤーをいくつか置き、レコード盤をセットしないままターンテーブルに針を落とし回すインスタレーションをする。想像通り、音は騒音の類だ。音は展示しているその瞬間に響いている。彼は平滑でミニマルな絵画と、ささくれた音響を同時に体験させようと試みる。大きなコントラストの狭間に観る者を置きたいという。決して両者の調和を意図しているのではなく、むしろ弁証法的なやり方で空間に対するアプローチを提供しようとしているようだ。あるいは色と形と音の響きの浸透圧のようなものを意図しているのかもしれない。スマートな方法ではないかもしれないが、いずれにしろ絵画のフレームの外側に何かを求めた結果である。このCDは実際の展示中に使用された音源が収録されている。ヴィンテージ機材のせいか音の様子は温かい。
Megalomania,Micromania(MM07) 2001 ■