Ted Purves “mid-november even of ...”

omay_yad2005-10-27

"mid-november event of miles avenue involving a migration of birds and a lapse or interruption"
■テッド・パーヴェスは西海岸在住、アーティスト活動をしながらキューレーション活動も行っている。エコロジカルな視点によるマルチプル・アート出版やイベントを運営する(O,O)Editionsのオーナーでもある。彼は現在、カリフォルニアで地域環境や教育事業をアートの脈絡で扱う活動を行っている。これは彼が頒布した1分半のフィールド録音が収録されたCD-Rである。
2000年の9月のある日、自分のスタジオの近くの通りで200羽以上のムクドリが電線に止まって鳴いていた。その状況を録音しようとポータブル・レコーダーを回し時、200羽が2秒程の間一斉に鳴き止んだところを幸運にも収録することができた。移動中のムクドリの大群の沈黙の瞬間に、たまたま自分がそこに居合わせた偶然に彼は小さな感動を覚えたのだろう。この沈黙は彼と鳥たちが同じ時間を共有していることを意識させたのかもしれない。たまたま通りを歩いていたヒトと長い移動中の鳥の大群。私たちヒトには鳥の世界を理解するのは不可能である。哲学で論じられるところの他者の問題がここに見て取れるかもしれない。しかし他者性を過剰に意識すればお互いが使う言葉まで信頼できなくなってくる。そうなると共通理解や相互行動に懐疑の視点を向けることになったり、自他の関係のパラドックスに悩まされるかもしれない。そのような徹底した他者性に向き合うことは純粋な思考世界なら兎も角、日常生活ではむしろ無益な考察だろう。ただ素朴に考えると、鳥とヒトは同じ時空間に存在するが、お互いが生きる世界は異なる。鳥の世界には違う時間が流れているだろう、と考えることはできる。この短い沈黙には異なる二つの世界が、まるで驚いた瞬間の意識の空白状態のように、一瞬リンクした、と錯覚するのは愉快な想像ではないだろうか。沈黙が鳥にとっても人にとっても同じようなものであったとしたら。
Ted Purves 2000 ■