ЧОЛБОН “ПРОКЛЯТЫЙ КАМЕНЬ”

omay_yad2005-10-28

Cholbon “The Damned Stone”
■チョルボンはシベリアの地から登場したヤクート族末裔のロック・バンドである。様々なジャンルでミュージシャンが自らの出身をアイデンティティとすることがあるが、私たちにとってヤクート族のイメージが持てない故に殊更ミステリアスな存在である。すべての楽器に深いエコーをかけてしまっていることがひとつの原因かもしれないが、どういう訳か重い陰鬱な響きが全体を支配しているのが特徴である。ヤクート伝統楽器の口琴も採用されていが、バンドの構成は通常のものである。どことなく喪失感や諦念のようなネガティヴな印象を与えるそのサウンドはジャーニーのバラード曲を減速させ、モグラ帝国期のザ・レジデンツを混ぜたような音楽である。彼等のロック・サウンドの脈絡は4ADやファクトリー・レコードあたりと推測されるが、ボーカルはレゲエ調でこぶしが効いている。B面はさらに不気味である。リリースはペレストロイカ以降の自主レーベルからである。西側への輸出も視野に入れているようで、アルバムの裏に印刷された英字解説文が印刷されている。
「チョルボンは北東シベリア、ヤクートの村のナムツィー出身だ。この『忌まわしき石』は彼等のファースト・アルバムである。ロンドンとレニングラードの最新流行を行き来する音楽といえるが、むしろ彼等のルーツに近づいて独自の音楽を創りあげた。チョルボンが『ツンドラピンク・フロイド』と呼ばれてきた理由は、ファンキーな異教徒のコーラスとヒプノティックなシャーマン儀式のようなリズムをプログレッシヴ・ロックサウンドブレンドさせているからだろう。すべての曲にはバンド自身に深く根付いた文化と郷土の神話哲学が内包されている。実際彼等はヤクートのロッカーであることを自認している。それはショービジネスの類ではなく、真実のスピリチュアル・ミュージックである。ある意味でボブ・マーレィのレゲエと比較できるかもしれない。チョルボンの魔法のようなバイブレーションを味わう最適な手段は、彼等のライブ体験である。しかしこのスタジオ録音は純粋で謎に満ちたヤクート・ビートの良きイントロダクションとなるだろう。」(アルテミー・トロイツキー 1992年12月)
RGM 7057 1992■