And ”The sparkling white wine...”

omay_yad2005-11-01

"The sparkling white wine sailor cat AND cormorant friend Louise"
■これはフィル・エドワーズの「ヴィジュアル作家によるリハーサルなしの即興演奏」プロジェクトAndのCD-Rである。Phil EdwardsのキーボードとPeter Ellisのテレキャスター、Louise Weaverのシンセサイザーの編成である。それ以外の音源として3人とも共通してチター、テープ音源を演奏している。2001年7月23日に自宅スタジオにて11トラック収録されている。キーボードのプリセット・リズム伴奏の上にスペイシーな楽器演奏とテープの奇妙なコラージュが混ざり、一種幽玄な味わいになっている。リハーサルを行わないので当然ミスタッチのようなところもあり、全体に脱力したような感じだが、それに引き換えて自由な演奏が繰り広げられている。音の印象はドイツのClusterやイギリスのWooあたりをチープにしたようだ。Andの主要メンバーはキーボードのPhil Edwardsとエレキ・ギターのPeter Ellisで、時にキーボード、リズム担当のStuart Mcpheeのようである。その時々で他の演奏家、否、ヴィジュアル作家が参加する。すべての曲は基本的にインストゥメンタルである。
いくつかアルバムを紹介したい。
上記3人によるリズムのはっきりしたロック色の強いものに”The Tuesday session”と”Sonic zoo”がある。John Aslanidisのサックスとフィルのキーボードで地下鉄駅にて収録された”And performance at Degraves st subway 14/11 98”は街頭の響きが効果的。フィルとピーター・エリスのギターによる”the man up stairs”はゆったりした心地よい浮遊感が味わえる。”And Live at the Public office”はフィルのアヴァンギャルドなギターソロ。うって変わって”Skip”では単純なピアノのループが縄跳びをするかのごとく繰り返されるミニマル・ミュージック。”PHILAND the Gentlemans Record Club”は地元のヒップホップ・チームのビートとラップにフィルの安っぽいキーボードが乗る。チームの連中を恐れてか、演奏は控えめである。
彼はこの他Soso、Bert Alphett、 Hard Rubbishというソロ・プロジェクトも展開しており、これらはいずれも実験音響と呼べるものが多い。Bert Alphettではサン・ラのようなキーボード・ソロや99曲あるピアノ曲、Sosoの”not use yet”は自宅の窓から収録した自動車の走行音をイフェクターを通し、原音が分からなくなるまで単調にしたもので、ジョン・ヒューダックのようなミニマム世界である。Hard Rubbishのカセット作品ではノイジーなベースギターのソロが披露される。
いずれの作品も30枚程度のCD-R。常にアマチュアであり続けようとする演奏は、聴いている者の心配をよそに自由気ままに吹く風のようで心地良さそうだ。
All compositions (c) Phil Edwards
Images and Design (c) Phil Edwards■