Jeff Fuccillo "Disturbed Strings"

omay_yad2005-11-11

ジェフは日本に長く滞在しているギタリストで、現在称されるところのフリーフォーク系の演奏家である。
これは彼が敬愛するJohn Fafeyのスタジオで録音されたものだが、ジョンの悪戯なのか録音中にモニターから音楽の断片が挿入されている。変調された爆音のようなものもあり演奏家本人もジョンの真意が分からぬままその音に時々シンクロさせた演奏をしている。

このレコード全体にはリラックスしたムードが漂っている。
ジェフの細身のアコースティック・ギターの音質が中世の古楽器のような民族楽器のような音色を有していてギター然としていない。その演奏も柔らかいニュアンスがあるからかもしれない。しかしそれだけではない。恐らくジョンの悪戯による音の乱入により演奏が撹乱されていることによりフリーフォームな演奏がよりカジュアルになったからだろう。
このような録音は80年代以前には制作されなかったのではないだろうか。それは録音コストや演奏家のリリースに対する意識の問題だったのかもしれない。一面的な見方だが、90年代以降は音の発信が以前よりずっと楽な状況になったと言えるだろう。そのおかげで、このような親しい友人との会話のような音楽を聴くことができるようになったことは歓迎されるべきだろう。

このLPのフロント・カバーはJudith Lindbloomという画家の1957年のドローイングだが裏面はJohn Fafeyのペインティングのカラーコピーが貼られている。

roar 07
ROARATORIO (USA)

(c) 2004 Roaratorio
(p) 2004 Jeff Fuccillo