Henning Christiansen "Abschiedssymphonie"

omay_yad2005-11-12

これはフルクサス演奏家パフォーマーのヘニング・クリスチャンセンとナム・ジュン・パイクヨーゼフ・ボイスが共演した演奏が収められたLPである。

演奏の基本はクリスチャンセンとパイクによるものである。2人はピアノとエレクトロニクスを使用。パイクはボイスとも行ったジョルジュ・マチューナスの追悼アルバムと同じように呑気にピアノを弾いている。私たちに馴染み深い「あかとんぼ」も叙情的に弾かれる。
吹き抜けのような場所で録音された演奏は心地良い響きがありクリスチャンセンのエレクトロニクスはどのような仕掛けになっているか不明だが興味深い音がしている。
ピアノが並ぶ演奏会場の写真を見ると、クリスチャンセンのピアノの上には鳥かごや水槽が置いてあり、パイクは電子変調されたバイオリンを演奏しているようでもある。もう1台、演奏者の居ないピアノがある。その上には電話が置いてある。演奏者は不在。その傍らにはボイスのパフォーマンス映像がモニターで放映されている。演奏途中でその場に居ないボイスから電話がかかりメッセージが伝えられそれが五線譜が引かれた黒板に書かれていく。つまりこのピアノの奏者は不在のヨゼフ・ボイスである。演奏前半ではボイスの指示によるものか途中で酸素ボンベから酸素が放出される。

このような音の競演は聞いていて楽しめる。
3人とも単純な形式にのっとった作品は作ってきていない連中であるから演奏される音楽は八方に拡散している。リスナーにはそのベクトルが聞き取れる。

29.Nobember 1985

EB 118 Stereo
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