Ashley’s

omay_yad2005-11-14

これはLPと画集がセットになった作品である。(画像は画集の図版)
ドイツのロックバンドWorkshopのボーカリスト であり画家であるKai Althoffが自ら制作したカラーマーカーによる12枚のカラフルなイラストが載っている。デビッド・ホックニ−やエゴン・シーレマチスあたりの作品に影響を受けたと思われる作風はレコード・ジャケットをパロディー的に扱った内容だがその趣味性の質は高い。
レコードの方はワークショップのファーストを更にラフにしたような印象でカセットMTRで制作されたようなチープで混濁した音質ながら、その筋のマニアには喜ばれそうな内容である。これは60年代後半〜80年代初頭のマイナーなロック・ミュージックへのオマージュであろう。うっかりすると昨今再発されているアマチュアだった頃の有名バンドの発掘音源のようである。その辺も狙っているのかもしれない。ただ残念なのは、このセットは僅か200部しか印刷されず、コストがかかったようで高額である。またアート系のレゾネなどの流通に乗っていたため注目を集めにくかったのだと思われる。全く話題にならなかったアルバムである。
レコード・ジャケットの独自な世界にフェティッシュな魅力を感じる作家はアンディー・ウォーホールをはじめ数知れない。音楽好きのヴィジュアル・アーティストにとってLPサイズのアートワークは魅力的なものでる。元来音楽とそれを表象するイメージは無関係のものである。しかし音楽のパッケージとしてのジャケット・ワークをあくまでもその音楽の付属物扱いである、と素朴に考える人は少ないだろう。購入する際に店頭で目を惹くのはそのジャケット・ワークである。しかし現在はネット配信による音楽の供給も存在する。今後音楽とそのパッケージの関係は変化していくかもしれない。将来、音楽から完全にパッケージが無くなったとしたら音楽の存在が大きく変化した証拠だろう。
そしてこのような作品は作られなくなるだろう。

Auflage 200,numeriert
Künstlerhaus Stuttgart und Anna Friebe,Köln
(c) Kai Althoff und Künstlerhaus Stuttgart 1996