Dertiende Mixer door:Toshiya Tsunoda & Justin Bennett

omay_yad2005-11-20

これは両者ともフィールドレコーディングを用いたサウンド・ワークによるスプリットLPである。

Justin Bennettはオランダ在住のフィールド録音アーティストである。
”Cacerolada”
recorded in Barcelona in March 2003,during the protests against the war in Iraq
彼はバルセロナ市中でのイラク派兵に対する市民の抗議デモを録音している。
デモ参加者は手に鍋やフライパンを持ち打ち鳴らしながら街を練り歩く。建物に反響し混沌とした音響となる様子が収められている。甲高い打撃音がゆっくりては近づいては消える。
ドキュメント的な録音ながら作者自身の反戦への願いが盤面に定着されていると理解してよいだろう。

Toshiya Tsunoda 
”Cleavage of acoustics”
Toshiya Tsunodaは音声信号を切断する加工作業を盤に定着させた。
フィールド録音には様々な発音源から伝わる振動が複雑に絡み合って変化する。
その地層のような音の束を何らかの方法で切断してその切り口を見てみたいという意思の下に加工が行われている。 自身が収録した小川の音や虫の声などのモノラルの音声信号に精密なゲート装置を使って0ボルトを基準に+側と−側に分断する。滑らかに走る波形は分断され、二つの信号となりレコードの左右の溝に振り分けられる。奇妙な響きの音声は、ステレオ装置の左右のスピーカーを向かい合わせに密着させたり、2つの音をモノラルミックスすれば元の自然な音声に復元される。
それぞれの音源にはフィールド録音の振幅の大きさの基準になるように正弦波がミックスされているが、最初のトラックの2部目ではその波長とゲートのカッティングにより両耳の距離とほぼ等しい位相差ができ、頭を振ると左右の音がミックスされるものもある。このレコードを聴くことは、例えるなら、カッターの刃に観察点を置いて移動しながら音声信号の切断面を見ることに似ているかもしれない。レコードは彫刻のようなものである。この時の空想上のリスニング・ポイントは針がトレースする音溝の狭間である。

Stiching Mixer
Mlp.03
Made in The Netherlands