КРУГОЗОР 7.68

omay_yad2005-11-23

Krugozor magazine 7.1968 issue
これはソビエトの音楽と政治の月刊誌である。7インチ盤のサイズで数枚のソノシート付いたものである。スケッチブックのようにページと盤がナイロン・テープでバインディングされている。ソノシートは両面プレスで33回転、号によって赤や白、青など様々な色彩の盤である。通常5、6枚付いていてすべて聞くとだいたいLP1枚分くらいの長さになる。ソ連ソノシートの音質は非常に良質である。この雑誌は有名で60年代からペレストロイカの頃まで継続して発行され、80年代になると西側のロックも頻繁に取り入れるようになっていった。

内容を見ると国内外のニュースや現地レポートを含む社会現象一般を対象にしている。共産主義に関する論述や政治家の演説や寸劇や労働者や学者のレポート、音楽事情や演奏会のレビューなどがメインの記事である。ソノシートはそれらの記事に対応しており語りやインタビューと音楽によって構成されている。イデオロギー色が強い内容のものが多く、音楽主体の雑誌ではない。ものによっては記事だけで済みそうなものも多いが何故か肉声化されている。
この1968年7月号には炭鉱夫や勲章をつけた人物、レーニン、力強く演説する政治家、少年ブラスバンド(その背景には積み藁の上に座る民族衣装を着た少女たち)、ルーマニアのブラショフでの音楽祭の受賞風景、廃墟の修道院、コミカルな化粧をした寸劇の出演者たちやメキシコ・オリンピックに関する画像などが載っている。裏表紙は川のほとりで輪になって民族ダンスを踊る若人が写っている。それだけ見ても当時の状況が想像できる。ソノシートにはメキシコ・オリンピックに関する画像と対応してブルガリアのビート〜ハードロック・バンド、シュトゥルツィーテ (ШТУРЦИТЕ)の最初期のビート曲が収録されている。東欧国らしい明るい曲調で洗練されている。ここに収録されているソ連本国のポピュラー音楽はジャズ風の歌曲ぐらいのものである。その他はクラシックの演奏やインタビューや演説のような語りが収録されている。この雑誌で初めて陽の目を見る連邦のポピュラー・グループやレコードとして未発表の曲も収録されていることも多い。国営レーベルメロディヤからのレコード・プレスは多少の年月を置いてリリースされていたが、ここではリアルタイムで音楽が出版されていた。いろいろな意味で気になる存在である。