【新譜紹介】 ”composition for harp and sho”

omay_yad2006-12-25

タイトル:"composition for harp and sho"(2006)
レーベル:hibari music
シリアル:hibari-09
制作情報:CD 2006年 日本

player:rhodri davies(harp) ko ishikawa(sho)
composer:taku sugimoto masahiko okura antoine beuger toshiya tsunoda

4人のコンポーザーの曲をロードリ・デイヴィスと石川高が演奏。どの楽曲も、聴くことの快楽とは別の意図を持ったコンポジションが展開されている。まさに文字通り、時間と空間に音を構築するという点で四者とも共通している。

1曲目の杉本拓の「赤と青」は、オクターブの異なる同一ピッチの笙とE-bowによるハープの単音とそれによって表われる空白が少しずつシフトしていく作品。「どんな音楽なのか」という以前に「何が音楽であるのか」という問いかけに重きを置いた作品だと言える。普通なら単なる実験やジェスチャーに終わりかねないが、当人の追求姿勢によるものだろう、聴き応えがある。

2曲目はリード楽器の大蔵雅彦のペンによる「トルソ」。早いパッセージの笙と単音で間の多いハープが不思議なリリシズムを放っている。

3曲目はヴァンデルヴァイザー楽派のアントワーヌ・ボイガーの「three drops of rain/east wind/ocean」。録音時、スタジオのドアは開け放され、笙はそこから数メーター離れたところで鳴らされる。そこに抑制されたハープの音色が響く。この遠近感が楽曲の大きな構成要素である。

4曲目は角田俊也による「strings and pipes of same lenght float on waves
僅かに周波数の異なる2つのサイン波が再生される中、同じ長さの笙の管とハープの弦が同時に鳴らされる。それを精密なゲート装置に通し、一定の音圧以下をカットしたものが楽曲として収録されている。これによって4つの音の干渉によってできる波の揺らぎが取り出される。左右のチャンネルにはゲートから出た音声信号は+側と−側に分けられているため歪んだ音に聞こえるが、両チャンネルをモノラルにミックスあるいはスピーカーを2つ向かい合わせると波形が整形され音色が変わるようになっている。