”2006 1” Manfred Werder

omay_yad2007-01-02

タイトル:"2006 1"
アーティスト:Manfred Werder
レーベル:Skiti
シリアル:sk01
制作情報:CD/2006年/日本

Manfred Werder (composition)
Tetuzi Akiyama(guitar,stones)
Mashiko Okura(alto sax)
Toshiya Tsunoda(tambura)
at Tamagawa-Ryokuchi,Tokto,may 14 2006

河原で行われた演奏の実況録音盤である。マンフレッド・ヴェルダーの「2006 1」のスコアは以下のテキストである。

a place,natural light,where the performer,the performers like to be
(場所 自然光、演奏者の居るところ、演奏者たちが好むまま居る)

これを手渡された3人の演奏家たちは解釈に戸惑いながら発音を試みる。環境音に混ざるように楽器を発音させたり、その場所にある何かに楽器を接触させたり、あるいは動いたりと。録音の最初の部分では、演奏会に集まった子供たちの声や歩く音、鳥の鳴き声、遠くのイベントや電車の音など鮮やかな河原の情景が耳に飛び込んでくる。そこに楽器の音色が微かに聴き取れる。そのうち、演奏家たちは自ら立っている場所の背後にある川を見つめはじめる。もはや楽器を触ることはない。ただ佇んでその景色を見つめることが演奏行為に置き換わる。偶然と言えばそれまでだが、演奏家たちが川を見つめだしてから周囲の音は徐々に静まり返っていく。3人の佇む姿が聴こえる。音だけ聴けば河原のフィールド・レコーディングだが、ここに収録されているのは、演奏家たちが発音を試みようとする行為から、川を見つめるに至るまでの、静かな、そしてダイナミックな過程の記録である。これはスコアを意識しなかったら享受できないものである。