”Proletarian of Noise” Mattin

omay_yad2007-01-28

タイトル:Proletarian of Noise
アーティスト:Mattin
レーベル/番号:hibari music/hibari-10
制作情報:CD/2006年/日本

マッティンはアナーキストだ。彼の思想がどのように形成されたかは判らないが、バスク生まれであることと関係があるかも知れない。国籍はスペインだが自らをスパニッシュと称すことはない。破天荒な作品が眼を引くマッティンだが美学の博士号を持っており、実験的な音楽だけでなくメッセージ性の高い映像作品も発表している。このアルバムは資本主義、とりわけ芸術の貨幣価値への挑発を行っている。音楽制作に関してはフリーソフトのみを使い、一貫して著作権への反対を表明している。英国長期滞在時には、空き家に不法占拠し警察当局から逃げ回っていたという。激しいフィードバックとホワイトノイズと空白で構成され、ラップトップ付属のマイクに叫ぶこのアルバムは、英のハーシュ・ノイズ、Whitenoiseを確信的に流用しているようである。これまでの彼の作品と比べものにならぬほど激しくパンキッシュである。彼は芸術という非生産的な場所に身を置き、そこから純粋な価値、貨幣交換になり得ないものを創造しようとしているのだろうか。生き様を売り物にしようとする胡散臭い輩ではない。彼は数回来日しているが、自己矛盾など微塵もない自然体のパフォーマンスを繰り広げ、現在の在住地、ベルリンに飄々と消えていった。今後の展開に眼が離せない。
アルバム・ジャケットは当人の希望で日本のノイズ・バンド、非常階段の「King of Noise」の画像をJOJO広重氏の許諾を得て使用している。