”Radial” nikos veliotis

omay_yad2007-02-02

タイトル:Radial
アーティスト:nikos veliotis
レーベル/番号:Confront/confront 13
制作情報:CD/ギリシャ/2003年

もしかしたら「楽器」そのものが「楽譜」なのかもしれない。チェロ奏者のニコス・ヴェリオティスのこのアルバムを聴くとそんな想像が頭をよぎる。オープン・チューニングの弦に古楽器用の緩く張られた弓による持続音が3トラック収録されているが、どの録音もマイクを楽器に接近させて録音されているため通常のチェロからは聴くことができない様々な音が収められている。非常に生々しい音であり、徹底された演奏を聴くと「深い」といった抽象的な言葉が思いつくが、それは正確ではない。むしろ「明白な」と形容すべきだろう。ここで聴かれるのは楽器そのものが持っている固有の音である。弦の張力の関係、共鳴、摩擦、材質、手触り、重さ、形状、色彩、匂い、それらが分かち難い塊となった出来事が「楽器」なのである。チェロの一部を、例えばプラスチックや金属素材と取り替えたら結果の響きも変わってしまう。いや、このように構成要素に分割して考えること事態が間違っているのかもしれない。それは楽譜を細切れにすることと同じである。
recorded in athens,june 1st 2003 at lego studio by cotic k.