GX.Jupitter-Larsen ”a basic introduction to the ’t.n.u.’”

omay_yad2005-09-09

■純粋なニヒリズムを追求しているGX.ジュピター・ラーセン。 ノイズ・ミュージックの愛好家には The Haters名義の作品で知られているはずだ。「超越膨張数列の基本序説」と題されたこのシングル盤は数ページの解説が付いている。
●「I」(発音は<アー>) は、1と4の間に存在する。しかし2と3ではない。
●「Ⅱ」は(発音は<ベー>) は、4と8の間に存在する。しかし5、6、7ではない。
この調子で続く。これらを計算する方法も記されている。膨張数列は線的に続く数列に螺旋状に絡んでいくことになる。どことなくフィボナッチ級数のようである。ラーセンの他の作品、例えば砂浜で砂粒を数えたり、古タイヤをサンダーで磨くパフォーマンスと比べると幾分生真面目で有意義な印象を受ける。だが、数列ユニットの「アー」とか「ウー」という妙なネーミングは意味不明で、その無意味さに関心があるようにも思える。シングル盤にはぼそぼそとした声が淡々と収録されている。85年復刻録音である。B面はその録音の一部抜粋が各音溝の間が5mmくらいづつ空けた特殊カッティングになっている。その螺旋を描いている音溝の上から、無造作にニードルで溝が切ってあり、レコード針を置くとまともにトレースせずバチバチ音を立てながら盤面を行ったり来たりする仕組みになっている。これが線的連続を越境するということなのか?
無目的なニヒリズムがひんやりと笑みを浮かべている。
(c)1990 Alamut records (p)1985,1990 GX Jupitter-Larsen■