ΜΕΓΑΛΗ ΕΒΔΟΜΑΣ Ecclesiastical Byzantines Hymms

omay_yad2005-11-17

ΜΕΓΑΛΗ ΕΒΔΟΜΑΣ Ecclesiastical Byzantines Hymms
このカセット・テープは奇岩の上に立つ修道院で有名なメテオラの麓の町、カランバカで出版されたギリシャ正教典礼合唱のローカルプレスである。
古代の河川下流の堆積の侵食作用でできた奇岩の上に、幾つもの修道院が聳え立っている。
ちょうどカパドキアをスケールダウンさせたような場所である。現在は幹線道路も整備され観光バスで巡礼者を送迎することができるほど観光地として整備されたが、オスマントルコの襲撃の時代、僧侶は絶壁に垂直に降ろされた木製の無骨な梯子や、網籠のようなものに入り引き揚げてもらって修道院に登っていた。
正教会修道院では未だに西暦を使用せずビザンチン暦によって時を刻んでいる。一日の始まりは夕方であり、午前3時から典礼が始まる日々を過ごしている。頑なに伝統を守りぬくその態度はローマ・カトリックとは明らかに異なりどちらかというと密教のようである。教会の装飾も同様で新たな種類の美的要素は受け入れない。壁画がくすんでくれば上から全く同じ絵柄で塗りつぶしていく。このあたりも芸術性を尊重し装飾を重んじるカトリック教会とは大いに異なる。
一方、街中の一般信者(ギリシャは国民の90%が正教徒である)はまるで昔話のような素朴な信心を行っている。毎日の仕事が終わると近くの教会に行きイコンに接吻をして十字を切る。プロテスタントからすれば、偶像崇拝のように見える行動だが、現在において素朴に奇跡のイコンを信じることができる姿を一笑に付すことはできないだろう。
市中で行われる毎日曜日の典礼は早朝から3〜4時間延々と続く。典礼では一般市民は男女別れて並び、高齢でない限りずっと立ったまま典礼に参加する。
その合唱はグレゴリオ聖歌と比べると辛口でアラビア風、コブシが効いた荘厳なものである。伴奏は無い代わりに低い男声のドローンが添えられる。
この合唱は欧州とアラブ半島の中間に位置することが大きいが、10世紀以前の写本から再現されたローマの聖歌と酷似している。つまりかなり古い典礼歌の形式なのである。
まるでシーラカンスのような…
余談だがメテオラ(空中の意)よりずっと有名なアトス山も驚異的である。国家によって厳重に保護された聖地である。現在は少々状況は変わったと思われるが10年前までは電化されておらず、せいぜい発電機を持っている修道院が数箇所あるくらいだったそうだ。この地はお告げにより、キリスト昇天後に聖母マリアと死者から復活したラザロがパレスチナから舟に乗ってたどり着いた地で、それまでそこで反映していた異教の像はマリアが上陸した途端に倒れ、異教徒は慌てふためいてその半島から逃げ出したという伝説の地である。そのためここはマリア以外女人禁制であり、家畜でさえメスは外部からの入山が許されない。(院内に繁殖するねずみを駆除する猫だけが例外で入山が許可されているという)
古代ギリシャの発掘作業も一切行われていない。
海に面した絶壁の崖の穴倉には何十年も独りで祈りをささげている乞食同然の修行僧が散在する。
正教の合唱を聴くときにこのような古から繋がる背景を知るべきだろう。その厳しさと素朴な信心深さゆえの荘厳な響きである。<<ΗΧΟΓΕΝΝΗΣΗ>>
HX-11
Made in Greece 1983