КРУГОЗОР 7.68

Krugozor magazine 7.1968 issue これはソビエトの音楽と政治の月刊誌である。7インチ盤のサイズで数枚のソノシート付いたものである。スケッチブックのようにページと盤がナイロン・テープでバインディングされている。ソノシートは両面プレスで33回転、号…

S.Y.P.H. “Pst”

ドイツのニューウェイヴ・バンドのデビューアルバムである。CANのホルガー・チューカイがプロデュースと演奏で参加しているせいか、CANとTalking Headsを混ぜ合わせたようなサウンドである。 驚くべきはこのレコード・ジャケットである。 現代ドイツのコンセ…

Atsuhiro Ito “Acousmatic”

伊東篤宏は蛍光灯を使用した楽器「オプトロン」の奏者である。 非楽器の物体が楽器にされたものはエスニック・パーカッションに多く見られる。 例えばメキシコ産のヴィブラスラップは死んだ馬の顎の骨を平手打ちして緩んだ歯が揺れる音を出す楽器である。南…

Dertiende Mixer door:Toshiya Tsunoda & Justin Bennett

これは両者ともフィールドレコーディングを用いたサウンド・ワークによるスプリットLPである。Justin Bennettはオランダ在住のフィールド録音アーティストである。 ”Cacerolada” recorded in Barcelona in March 2003,during the protests against the war i…

The conet project

Recordings of shortwave number stations 乱数放送をご存知だろうか。短波の周波数帯で無意味なシグナルの後、淡々と数列を読む声が放送されるものである。短波ラジオで初めてそれを聞いたとき戸惑ったが、アマチュア無線に精通している者によれば、この放…

Armenie Chants Liturgiques du Moyen-Age

キリスト教では三位一体という言葉を聞く。キリストと創造主と聖霊が神の本質であるという意味である。想像されるようにこの概念は様々に解釈されていった。キリストという実在の人物から神性を強めるべきか弱めるべきか、解釈によって教義は大きく変わり各…

ΜΕΓΑΛΗ ΕΒΔΟΜΑΣ Ecclesiastical Byzantines Hymms

ΜΕΓΑΛΗ ΕΒΔΟΜΑΣ Ecclesiastical Byzantines Hymms このカセット・テープは奇岩の上に立つ修道院で有名なメテオラの麓の町、カランバカで出版されたギリシャ正教の典礼合唱のローカルプレスである。 古代の河川下流の堆積の侵食作用でできた奇岩の上に、幾つ…

Chant Grégorian Abbaye du Thoronet

欧州の教会音楽、特に10世紀前後のそれを聴くと建築との関係を意識せずにはいられない。 グレゴリオ聖歌がどのように発展して行ったかは諸説紛々入り乱れ簡単な結論は出せないが、現在CD等で聴くことができる現地録音の教会音楽はその場所にほぼ定着したもの…

m/s “perturbation field and the equilibrium”

これはコンセプチャルなマルチプルCDである。いや、コンセプチャルというより理論的な作品と捉えた方が正しいかもしれない。十字型をした塩化ビニールのような特殊紙のパッケージ。その中にはOHPシートに印刷された解説が2枚入っている。そこには作品に関連…

Ashley’s

これはLPと画集がセットになった作品である。(画像は画集の図版) ドイツのロックバンドWorkshopのボーカリスト であり画家であるKai Althoffが自ら制作したカラーマーカーによる12枚のカラフルなイラストが載っている。デビッド・ホックニ−やエゴン・シーレ…

Christian Wolff "Stones"

クリスチャン・ヴォルフの石を奏でる作品「Stones」はウィーンのEdition Wandelweiser Recordsからリリースされた。 まさにこのレーベルに相応しい作品である。 その大いに注目されるべきでレーベル、Edition WandelweiserはTimescraper Music Publishingの…

Henning Christiansen "Abschiedssymphonie"

これはフルクサスの演奏家、パフォーマーのヘニング・クリスチャンセンとナム・ジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイスが共演した演奏が収められたLPである。演奏の基本はクリスチャンセンとパイクによるものである。2人はピアノとエレクトロニクスを使用。パイク…

Jeff Fuccillo "Disturbed Strings"

ジェフは日本に長く滞在しているギタリストで、現在称されるところのフリーフォーク系の演奏家である。 これは彼が敬愛するJohn Fafeyのスタジオで録音されたものだが、ジョンの悪戯なのか録音中にモニターから音楽の断片が挿入されている。変調された爆音の…

Veljo Tormis "Ellerhein"

Veljo Tormisはエストニアの合唱を使った作曲家として知られている。彼の作品は近年ECMからリリースされており世界的な注目を集めている。 このLPはソビエト時代の作品で国営レーベルのメロディヤからリリースされた合唱作品である。 エストニアに古くから伝…

Filament “Filament BOX”

フィラメントはSachikoMと大友良英の2人のユニットである。 ここには2000年11月から2004年1月の間ブリュッセル、バルセロナ、ヘルシンキ、京都でのライヴと東京での録音が収められている。 サイン波、とくに高周波のそれとグリッジを多用したこの音楽は、演…

Ron Geesin “Right through”

■ロン・ギーシンのこのアルバムは正しく音のシュールレアリズムである。A面冒頭の「Door-o-plane gets its blades」のコラージュが凄い。不気味なドローンが鳴り響く中、小人の合唱のようなものが近づいてくる。突然ドアが開き、あたかもその小人たちが室内…

Alvin Lucier “Still and Moving Lines of Silence...”

"Still and Moving Lines of Silence in Families of Hyperbolas,Part 2" ■アルヴィン・ルシエの作曲活動は音響学的な側面を強調している。この作品は楽音とサイン波を併置することで起こる変化を用いた楽曲である。「Crossing」という楽曲では管楽器等の持…

Sean Meehan ”Sectors(for Constant)”

Solo for cymbals with snare drum ■特殊パッケージのCDは数に無く存在するが、このショーン・ミーハンの2CDアルバムは究極のひとつであろう。紙漉き職人でもあるこのパーカッショニストは2枚のCDを紙に漉き込んでしまった。ちょうどファブリアーノの…

Jliat “Stilllife#5”

■このCDは強烈である。再生ボタンを押した瞬間ブチッと音がしたあと一向に音がしない。ジリアットはこのスティルライフのシリーズでデータCDを出していたこともある。そこでパソコンに入れてみる。再生ソフトの波形図は静止して何の振幅も無い直線を描い…

m/s + toshiya tsunoda “ful”

■このCDの録音状況は以下の通りである。ある密閉性の高い室内の窓の上部に通気用の小窓が付いている。小窓のガラスは時折パタリと音をたてる。これは恐らく室内外の気圧変化によるものらしい。窓ガラスにコンタクトマイクを設置し、これをアンプで増幅しス…

杉本拓 “Principia Sugimatica”

■このCDは杉本拓にとって新境地であろう。この作品での音と余白の関係は明解である。例えば1分間を3つに割ったポイント、20秒おきにギターの短い単音が入る。続いて1分間を4つに割ったポイントにギターの短い単音…という風にある秩序に従って時間を区切り音…

Melchior “Uppysingar”

■このMelchiorというバンドは版画家ディーター・ロスがほとんど勢いで立ち上げたかのようなレーベル、Dieter Roth Verlagから『Balapopp』というLPとこの7インチ・シングルをリリースした。彼等はアイスランド出身の知的で少々屈折した感性が発揮されたト…

And ”The sparkling white wine...”

"The sparkling white wine sailor cat AND cormorant friend Louise" ■これはフィル・エドワーズの「ヴィジュアル作家によるリハーサルなしの即興演奏」プロジェクトAndのCD-Rである。Phil EdwardsのキーボードとPeter Ellisのテレキャスター、Louise Weav…

Murmurmania

■このCDの作者Phil Edwardsはメルボルン在住の画家であり、アマチュア音楽家である。これは彼の初めてのピアノ演奏を録音スタジオで1時間収録したものである。何の準備もなくいきなり弾いた演奏は音楽になっていない。ただの出鱈目である。しかし彼はこれ…

Steve Roden “Schindler house.”

"Schindler house (The sound of architecture/the architecture of sound)" ■このCDはスティーヴ・ローデンがアメリカ西海岸を代表するモダン建築のシンドラー邸にコミットした作品である。そもそも彼が幼少の頃父と共に丘の上に立つ東洋風のシンドラー邸…

Charlemagne Palestine “Music for big ears”

■シャルルマーニュ・パレスティンの代表作は仏シャンダールからリリースされた”Strumming Music”である。ベーゼンドルファーの残響ペダルを踏みっぱなしにして延々と鍵盤を弾き忘我的な響きを紡ぎ出すその演奏はミニマル・ミュージックの持つ快楽的な音響面…

ЧОЛБОН “ПРОКЛЯТЫЙ КАМЕНЬ”

Cholbon “The Damned Stone” ■チョルボンはシベリアの地から登場したヤクート族末裔のロック・バンドである。様々なジャンルでミュージシャンが自らの出身をアイデンティティとすることがあるが、私たちにとってヤクート族のイメージが持てない故に殊更ミス…

Ted Purves “mid-november even of ...”

"mid-november event of miles avenue involving a migration of birds and a lapse or interruption" ■テッド・パーヴェスは西海岸在住、アーティスト活動をしながらキューレーション活動も行っている。エコロジカルな視点によるマルチプル・アート出版やイ…

Annette Krebs “guitar solo”

■アンネット・クレブスは女性のギタリストである。このCDはギターソロと題されエレクトリック・ギターを使用しているはずだが、その楽器らしい音はほとんど聴くことができない。微かな物音が余白の空間に散らばっている。集中して聴くと音の印象が変化する…

Oren Ambarch&Johan Bethling “My days are darker than your night

■ハプナは多種多様な新しい音楽の動向をリリースするスウェーデンのレーベルである。音楽ユニットTapeのリーダーでもありレーベル・オーナーの一人、ヨハン・バースリングとオーストラリア出身でイギリスのTouch等からたくさんの作品をリリースしている電子…